地域とか、政策とか

地域産業、中小企業政策の成果・効果について、もやもやと考えながら綴るブログ(当面は主に論文紹介)。

大卒者に対する起業家教育と自営業:チュニジアにおけるランダム化比較試験によるエビデンス

Patrick Premand, Stefanie Brodmann, Rita Almeida, Rebekka Grun, Mahdi Barouni (2012)

「大卒者に対する起業家教育と自営業:チュニジアにおけるランダム化比較試験によるエビデンス

 

チュニジアの大学生に対するビジネストレーニングとコーチングを提供する新しい起業家育成コースの効果をランダム化比較試験により検証した研究。

 

 

(概要)

  • 起業家養成コースは、応募者の中から自営業を増やす点では効果的であったものの、その影響は極めて小さい。参加者間の就職率は変わらず、賃金雇用から自営業へのあくまで部分的な代替に過ぎない。
  • プログラムがビジネススキルの向上やネットワークの拡大に寄与し、行動範囲に影響を与えたとは言える。

 

(詳細はこちら)

http://ftp.iza.org/dp7079.pdf

 

 

起業家精神を通じたアメリカの成長:GATEプロジェクトの最終評価

Jacob Benus, Theodore Shen, Sisi Zhang, Marc Chan, Benjamin Hansen (2009)

起業家精神を通じたアメリカの成長:GATEプロジェクトの最終評価」

 

Project GATE (Growing America Through Entrepreneurship)の評価に関する研究報告書。先日紹介した研究と同様に、長期的なメリット、効果は見い出せないという結果に。

 

(概要)

  • 個々の起業家に関するデータを用いた検証の結果、ランダムに割り当てた後の最初の数四半期において、事業を興す確率が高まり、被雇用者となる機会が減少したものの、雇用全体には影響は見られなかった(創業促進には寄与したが、雇用創出には寄与していなかった)。
  • 収入面では、自営業者、被雇用者、雇用全体いずれにおいても、ほとんど影響が見られなかった(収入が増加したという傾向は見られなかった)。
  • 本プロジェクトは、失業給付の受給にはほとんど影響を与えていなかった(給付額の減少には寄与していなかった)。
  • 全体として、本プロジェクトは、長期的なメリットはなかったと結論づけられる。

 

(詳細はこちら)

https://www.impaqint.com/sites/default/files/project-reports/Project%20GATE%20Final%20Report%20revised%20April%202010.pdf

 

GATE実験の背後:補助金を受けた企業研修の効果と根拠に関するエビデンス

 

Robert W. Fairlie, Dean Karlan, and Jonathan Zinman (2015)

「GATE実験の背後:補助金を受けた企業研修の効果と根拠に関するエビデンス

 

米国における、補助金を受け実施した企業研修の効果に関するランダム化比較試験の結果です。日本でも「研修」の類には結構公的なお金を使っていますね。

 

(概要)

  • 信用や人的資本の制約、労働市場の差別等に最も直面しうる人には強く持続的な効果は見られなかった。
  • 失業者にとっては短期的な効果を見出すことはできるが、長期的にはこれも消散してしまう。
  • サンプル全体における待遇への効果は短期的であり、その範囲も限定的である。また、企業の売上、利益、雇用への効果も見られなかった。

  

(詳細はこちら)

http://karlan.yale.edu/sites/default/files/pol2e20120337.pdf

 

若い中小企業に対する研究開発政策:インプットとアウトプットの効果

Dirk Czarnitzki, Julie Delanote (2015)
「若い中小企業に対する研究開発政策:インプットとアウトプットの効果」

  

(概要)

  • 独立/非独立、ハイテク/ローテクの属性ごとに、研究開発のインプットとアウトプットの両方における補助金の効果について比較を行った。
  • 分析の結果、すべての企業のタイプにとって、公的資金に関する完全なクラウディングアウトは否定された。しかしながら、その効果は、独立したハイテク企業において最も高いことが明らかになった。
  • 研究開発のアウトプットに対する補助金の間接的な影響は、特許技術を生み出す枠組みの中で評価されている。
  • これらの結果は、独立したハイテク企業が他の企業と比較してアウトプットの効果が低いことを示しており、現在の特定の企業タイプに焦点を当てた政策は効果的ではないことを示唆している。

 

(詳細はこちら)

link.springer.com

 

 

中小企業の研究開発補助金と生産性

Hannu Karhunen, Janne Huovari (2015)
「中小企業の研究開発補助金と生産性」

フィンランドの中小企業における研究開発補助金の効果に関する成果研究。端的に言えば、補助金は雇用を生み出し企業の生存可能性を高める一方で、生産性の低下を招いているという結果。これをどうみるか。

  

(概要)

  • 補助金交付から5年間にわたって労働生産性に有意なプラスの効果がないことが見出された。
  • 結果は時間とともに変化し、補助金交付後1〜2年の中小企業の年間生産性成長率は、2〜4%のマイナスの影響があることが明らかになった。
  • それにもかかわらず、補助金は積極的な雇用効果を生み出し、企業の存続可能性を高めている。
  • 追加的な調査は、補助金が低スキル企業の人的資本水準にプラスの影響を与えることを示している。

 

(詳細はこちら)

link.springer.com

 

 

 

地方公共団体における行政評価の最新動向~地方創生で役割が拡大するPDCAの仕組みの現状と課題~

大塚敬(2017)

地方公共団体における行政評価の最新動向~地方創生で役割が拡大するPDCAの仕組みの現状と課題~」

  

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートより。

 

(概要)

  • 行政評価による改善の実効性を担保するために、予算への反映などにより評価結果を改善に結びつけていく仕組みやルールを確立することが特に重要である。
  • そのためにも、外部評価の実施と、評価結果及びその予算への反映状況を公表することが重要であり、こうした第三者のチェックによる緊張感が、評価結果を改善に繋げる取組を促進すると考えられる。
  • 評価と改善に関わる職員の負担を軽減し、取組意欲を高めることが必要であり、評価シートに記載すべき情報や組織間調整など、評価に要する事務は目的に即してできる限り絞り込むとともに、問題点を発見し改善を実現した組織や職員が評価される仕組みを検討するなど、職員が負担に見合う成果を実感できるようにすることも重要と考えられる。

 

(詳細はこちら)

www.murc.jp

 

終わりの始まり:アウトカムは分野横断的な研究を推進するフレームワークを提供する

Cynthia Mitchell, Dana Cordell, Dena Fam (2014)

「終わりの始まり:アウトカムは分野横断的な研究を推進するフレームワークを提供する」

  

(概要)

  • 学問的なアウトカム領域において重要な3つの範囲、すなわち「状況」「知識」「学習」は区別され、精緻化されている。

①状況あるいは研究のフィールドにおける改善

②学問的な知識やその他の社会的な知識を含む、関連する知識のストックやフローの創出とその洞察を、研究者、参加者、受益者等にとってアクセス可能で意味あるものにする集合。

③研究者や参加者による継続的な変化の可能性を高めるための相互学習と変形学習

 

(詳細はこちら)

Beginning at the end: The outcome spaces framework to guide purposive transdisciplinary research