企業成長のエンジンとしての産学官連携?知的クラスター政策の評価

岡室博之・池内健太(2017)

「企業成長のエンジンとしての産学官連携?知的クラスター政策の評価」

 

(概要)

  • 公的統計の個票データを用いてパネル固定効果分析を行い、クラスター事業に採択された大学・公的研究機関・企業の研究費や参加企業の成長・生産性などへの政策効果と、クラスター地域の製造業事業所へのスピルオーバー効果を定量的に検証している。
  • クラスター事業に参加した⼤学・研究機関の内部使⽤研究費と企業からの受⼊研究費、外部⽀出研究費が、事業参加後に、参加していない⼤学・研究機関と⽐べて有意に増加した。
  • クラスター事業参加企業の内部使⽤研究費と外部⽀出研究費が、事業参加後に、参加していない企業と⽐べて有意に増加(特に知的クラスター事業)した。
  • クラスター事業参加企業の売上⾼と⽣産性は(都市エリア事業についてのみ)、事業参加後に、参加していない企業と⽐べて有意に増加したが、その他の成果指標については有意な違いは⾒られない。
  • クラスター事業対象地域の製造業事業所の労働⽣産性は事業開始後に、対象外地域の製造業事業所と⽐べて全体として有意に低下したが、⼩規模な企業については正の有意な効果が⾒られることが明らかにされた。この結果は、⽂部科学省のクラスター⽀援事業によって地域の産学官連携が促進されたが、参加企業の成⻑や⽣産性への直接的な効果や、地域の製造業企業へのスピルオーバー効果がかなり限定されることを⽰している。

 

 

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www.rieti.go.jp