なぜ新規事業形成の効果は地域によって異なるのか?

Michael Fritsch, Alexandra Schroeter(2011)
「なぜ新規事業形成の効果は地域によって異なるのか?」

 

(概要)

  • 西ドイツの地域開発に及ぼす新規事業形成の効果の差を分析しており、新規事業形成が雇用に及ぼす影響は地域間で大きく異なることが示されている。
  • 一般的に、新規事業形成のプラスの効果はスタートアップ率の上昇に伴って小さくなり、地域のスタートアップ活動を刺激するための政策の限界収益率は低下していることを示している。
  • 新規事業形成による雇用成長へのプラスの影響は、農村地域より人口密度の高い地域で顕著に高いことが明らかになった。また、中程度の熟練労働者の比率が高く、革新的な活動レベルが高い地域は、他の地域よりも新規事業形成により大きな利益を得る。一方、高度な熟練労働者の地域シェア、労働生産性、起業家的特徴は、新規事業形成による雇用成長効果には重要な要素ではないことも明らかになった。
  • 新興企業は地域の雇用にプラスの貢献をする傾向にあるが、その効果の大きさは地域特性によって大きく異なる可能性がある。その中で最も重要なものは人口密度である。これは、雇用の伸びを期待して新規事業形成を促進するための政策は、「比較的低いスタートアップ率」「中程度のスキルの高い比率」「高人口密度地域」で最も効果的であることを意味する。同じ政策は、スタートアップ率の高い農村地域では、比較的効果がなく、雇用の伸びにも悪影響を及ぼすことさえある。

 

(詳細はこちら)

link.springer.com