企業規模に応じた政策と企業の成長

細野薫・滝澤美帆・鶴光太郎(2017)

「企業規模に応じた政策と企業の成長」

 

(概要)

  • 日本における「中小企業」の定義の変更(1999年)という制度改正後に中小企業から大企業に成長した企業は、その後、中小企業にとどまった企業と比べ、研究開発比率(対売上高)が低下する一方、生産性や利益率は上昇傾向が見られた。
  • これらの結果は、日本における規模に依存した政策は、資本構成、研究開発、および営業パフォーマンスに歪みをもたらしている可能性を示唆しているが、その程度は産業によって大きく異なることを示唆する。

 

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www.rieti.go.jp

ビジネスアドバイスの提供における信頼と契約の役割

Robert J. Bennett, Paul J. A. Robson(2004)

「ビジネスアドバイスの提供における信頼と契約の役割」

 

支援者・企業間の信頼関係は重要であるが、支援のインパクトや満足度をより大きくするためには、「信頼」と「契約」の双方を組み合わせることが最も有効である、という。

 

(概要)

  • さまざまな種類のアドバイザーを比較すると、信頼水準、法的契約の程度、サービスの強さ、コストなどと満足度が相互に作用していることがわかる。
  • 顧問との社会的および家族的関係がある場合を除いて、信頼単体の依存度は、一般に、クライアントへの影響度や満足度の水準に関係している。
  • 信頼と契約の組み合わせは、クライアントへの影響度と満足度を高いレベルに引き上げる最適なルートとなる傾向がある。

 

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https://academic.oup.com/cje/article-abstract/28/4/471/1698050/The-role-of-trust-and-contract-in-the-supply-of?redirectedFrom=fulltext

場所と距離がビジネスアドバイスの供給に及ぼす影響

Robert J Bennett, Colin Smith(2002)

「場所と距離がビジネスアドバイスの供給に及ぼす影響」

 

支援ニーズがあっても距離が遠いと、支援者と企業双方にとって、支援関係を構築するインセンティブが働きにくい側面も。時間も有限だし、行くのも面倒。だからこそ支援者側が意識的に農村部や周辺地域への支援に注力していくことが重要、ということか。本論文から15年経過し状況はやや変わってきているかもしれないが、対面重視の価値観が未だ大きいと仮定するならば、現在においても同様のことが言えそうではある。

 

(概要)

  • 1999年にESRCビジネス・リサーチ・センターが1実施した層別無作為標本調査に基づき、中小企業顧客とビジネスアドバイスの外部供給業者との間の地理的関係を分析している。
  • この分析では、ローカリゼーションの重要性がシンプルに示されている。クライアントの10km以内から多くの顧問が引き出され、ほとんどのタイプのアドバイザーにとってはほとんどすべてが50km以内である。
  • 高度の局在化は主に、アドバイザーが位置するセンターのアクセシビリティーおよびサイズの凝集利益に依存する。重要な知見としては、顧問供給場所の空間的パターン、特にそれらが位置するビジネスセンターの規模は選択の重要な決定要因であり、距離の役割と同時に考慮されなければならない。
  • 小規模ビジネスサポート政策は、主に、主要な供給源へのアクセスが困難な中小企業に焦点を当てるべきであることが示唆される。つまり、農村部や周辺地域に焦点を当てるべきである。

 

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journals.sagepub.com

アドバイザーとクライアントの関係:影響、満足度、コミットメント

R. J. Bennett, P. J. Robson(2005)

「アドバイザーとクライアントの関係:影響、満足度、コミットメント」

 

支援者・企業間の物理的な距離の近さが意味を持つとともに、公的な支援者は、企業目線では信頼・コミットメントの強さが支援に影響を及ぼしやすいという点で、民間コンサルタント等のように顧問料(ある意味、契約関係)を取って支援を行うことに難しさがある、と言えるか。公的部門は特定・個別の企業のみを優先できない(コミットメントできない)という点で、社会的信用はあるがむしろ個人・個社的な信頼を得にくい側面もあるか。

 

(概要)

  • 英国の中小企業が使用するビジネス・アドバイザーのタイプと、中小企業が受けるインパクトと満足度の関係を調査・分析している。
  • 顧客への影響、満足度、再利用の意向は、企業の特徴(特にその規模)、サービスの強さとコストに関連しているが、それらはアドバイザーとクライアント間の地理的距離によってわずかに影響を受ける。
  • クライアントによる顧問の「信頼」の水準によって測定された感情的なコミットメントは、ビジネス協会や公共部門のサプライヤーを除き、必ずしも重要ではないことが示されている。逆に、ビジネス協会や公共部門の支援団体らは、より広範な役割と商業的な手数料ベースの収入戦略を両立するうえで厳しい制約がある。

 

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中小企業の製品イノベーション・パフォーマンスにおける連携の機能的・地理的多様性の影響

Owusu Sarpong, Peter Teirlinck(2017)

「中小企業の製品イノベーション・パフォーマンスにおける連携の機能的・地理的多様性の影響」

 

(概要)

  • イノベーションにおけるコラボレーションは、中小企業におけるイノベーションの障壁を克服するための効果的な戦略と考えられている。しかし、中小企業の資源制約と知識漏洩のリスク管理は、誰とどこで協力するかを選択する必要性を生じさせる。
  • 2008年、2010年のベルギーにおけるコミュニティ・イノベーション調査を用いて、イノベーションパートナーの機能的および地理的多様性と、中小企業の新規市場における革新的なイノベーションパフォーマンスとの関係を明らかにしている。
  • パートナーの種類と地理的な広がりの多様性は、より大きく革新的な新市場の開拓に積極的に関連付けられていることがわかる。

 

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ネットワーク仲介者またはヒットメーカー?インキュベーションがスタートアップ投資に及ぼす影響の分析

Frank J. Van Rijnsoever, Marijn A. Van Weele, Chris P. Eveleens(2017)

「ネットワーク仲介者またはヒットメーカー?インキュベーションがスタートアップ投資に及ぼす影響の分析」

 

(概要)

  • 『ヒットメーカー』メカニズムとは、インキュベータからの資源や知識等の直接移転による有益な効果を指。一方、『ネットワーク』仲介者の仕組みは、インキュベーターのネットワークを介して外部の資金調達源に接続されていることにより、スタートアップ企業が享受する利益を指す。
  • 西欧と北米の技術起業家935人の調査から得られた結果は、インキュベーターが(1)スタートアップ企業が得る資金調達額、(2)スタートアップ企業がオフィシャルな投資家や銀行から資金を引き付ける能力にプラスの効果があることが明らかになった。
  • さらに、インキュベーションに関して、ネットワーク仲介者としてのエビデンスは得られたが、ヒットメーカーとしてのエビデンスは得られなかった。

 

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起業家のエコシステム・アプローチの系統

Zoltan J. Acs, Erik Stam, David B. Audretsch, Allan O’Connor(2017)

「起業家のエコシステム・アプローチの系統」

 

起業家のエコシステムとは結局何なのか。

 

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